更年期は、女性ホルモンの急激な変化により、心身ともに不調が現れやすい時期です。とくに、「更年期に入ってから太りやすくなった」と感じる方は少なくありません。
しかし、その一方で、同じような年齢でも「体重が増えない」「むしろ痩せた」というケースもあります。
更年期になり、痩せる人と太る人には、どのような違いがあるのでしょうか?本記事では、更年期に痩せる人と太る人の違いをはじめ、更年期太りの解消に役立つ5つの方法を紹介します。
目次
更年期で痩せる人と太る人の違い

更年期における体重の変化は、女性ホルモンである「エストロゲン」の減少と深く関連しています。エストロゲンが減ると脂質代謝が低下し、内臓脂肪がつきやすくなるため、多くの方が太りやすさを感じる傾向にあります。
では、更年期に「痩せる人」がいるのはなぜでしょうか?その違いの背景には、体質の違いに加えて、日常の過ごし方も大きく関係しています。
加齢に伴い、基礎代謝が落ちるのは自然なことです。しかし痩せる人は、運動や食事内容の見直しといった、代謝の低下を補う行動をしている傾向にあります。
一方で、更年期に入っても若いころと同じ食生活を続けたり、外出する機会が減ったりすると、代謝が落ちた分だけエネルギー消費量が減り、脂肪が蓄積して太りやすくなるでしょう。
参考: | UChicago Medicine |
MAYO CLINIC |
更年期に痩せる人の特徴

更年期に体重が増えにくい、あるいは痩せる人には、主に次のような特徴が見られます。
- ホルモンバランスの変化で食欲が落ちている
- 運動を習慣化している
- 生活リズムが整っている
- ストレスを上手に発散している
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
2-1. ホルモンバランスの変化で食欲が落ちている
更年期は、エストロゲンの減少によって自律神経が乱れやすくなり、胃腸の働きが悪くなることがあります。
その結果、胃もたれや吐き気などの症状が生じやすくなり、食欲が自然と落ちてしまうケースがあります。
2-2. 運動を習慣化している
日頃からウォーキングや軽い筋トレなどの運動を続けている方は、筋肉量を維持しやすく、基礎代謝の低下も比較的ゆるやかです。
また、運動はストレス発散にもなるため、過食を引き起こしにくいことも、痩せる原因のひとつとして考えられます。
2-3. 生活リズムが整っている
更年期に入っても太りにくい人の多くは、決まった時間に起きて朝日を浴び、夜も規則的な時間に眠るといった、安定した生活リズムを保っています。
また、十分な睡眠時間を確保できていれば、日中に頭や身体をしっかり使えるようになり、活動量も自然と増えるでしょう。その結果、エネルギー消費量が高まるため、脂肪がつきにくくなると考えられます。
2-4. ストレスを上手に発散している
更年期は女性ホルモンの乱れから心が不安定になりやすく、ストレスが溜まりがちな時期です。
痩せやすい人は、そうしたストレスと上手に付き合い、自分に合ったリフレッシュ法でうまく気分転換しています。
読書やアロマ、音楽などの趣味を楽しみ、リラックスする時間を設ければ、自然と「やけ食い」や「ストレス食い」を避けられるでしょう。
更年期に太る人の特徴

更年期に体重が増加しやすい人には、主に次のような特徴が見られます。
- 食生活が若いころと変わらない
- 運動習慣がない
- ストレスを溜め込みやすい
- 年齢のせいだとあきらめてしまっている
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
3-1. 食生活が若いころと変わらない
更年期に太りやすくなる原因のひとつは、若いころと同じような食生活を続けてしまうことです。
更年期は、女性ホルモンの減少によって脂質の代謝が落ち、体脂肪が蓄積しやすくなります。
この状態で、高カロリー・高脂質な食事をとっていると、エネルギーを消費しきれず脂肪として体内に溜まりやすくなります。
更年期太りを解消するためには、年齢とともに代謝が落ちていることを意識し、食生活を見直すことが大切です。
3-2. 運動習慣がない
筋肉量は年齢とともに自然と減少するものですが、運動習慣がないと、筋肉量の減少はさらに加速します。筋肉が減ると基礎代謝が下がるため、以前と同じ量の食事をしていても、太りやすい身体になってしまいます。
また、疲れや気分の落ち込みといった更年期特有の不調があると、運動をする意欲が湧かず、ますます身体を動かす機会が減ってしまうことも。こうした運動不足が体脂肪の増加やむくみを招き、結果として体重増加につながります。
3-3. ストレスを溜め込みやすい
更年期は心身ともに不安定になりやすい時期です。そのため、ストレスを溜め込みやすい人は、ストレス発散のために過食に走りやすくなります。
また、ストレスによって睡眠の質が低下すると、寝ても疲れが取れない状態になりがちです。その結果、日中に身体を動かす気力がわかず、エネルギー消費量も減って太りやすくなってしまいます。
3-4. 年齢のせいだとあきらめてしまっている
「更年期だから仕方がない」「もう年齢のせいだから痩せられない」と思い込むと、現状の生活習慣を見直す機会がなくなってしまいます。
更年期は、一般的に太りやすい時期ではありますが、日々の生活習慣を改善することで、体型を維持することは可能です。
無理な食事制限や過度な運動は必要ないので、太りにくい体質へ近づくために、できることから取り組んでいきましょう。
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更年期の体重増加はいつまで続くの?

更年期が過ぎてホルモンバランスが安定してくると、体重増加のペースがゆるやかになる場合もありますが、それだけで体重が自然に落ちるわけではありません。
加齢にともなう筋肉量や基礎代謝の低下は、更年期を過ぎても続くためです。
そのため、何の対策もせずにいると、痩せるどころか太り続けてしまう可能性もあります。
理想的な体型に近づくためには、食生活や運動などの普段の生活習慣を見直すことが大切です。
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更年期太りはどうやって痩せる?痩せ体質になるための5つの対処法

更年期に太りやすくなる原因には、ホルモンバランスの変化だけでなく、生活習慣や日々の行動の積み重ねも大きく影響します。
ここからは、痩せ体質を目指すための方法を5つ紹介します。
- 食事の量や内容を見直す
- 運動習慣をつける
- 自分に合ったストレス解消法を見つける
- ツボを押す
- サプリメントで不足しがちな栄養を補う
それぞれの対処法について詳しく見ていきましょう。
5-1. 食事の量や内容を見直す
更年期以降は代謝が落ちるため、若いころと同じような食事内容では脂肪がつきやすくなります。
揚げ物や菓子パン、清涼飲料水などの高脂肪・高糖質の食品を控え、和食をベースにした食事へと切り替えると痩せやすくなるでしょう。
また、「野菜や海藻などの副菜→タンパク質が豊富な主菜→主食」の順番で食べると、脂肪の蓄積を抑える効果が期待できます。
満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐためにも、よく噛んでゆっくり食べるように心がけましょう。
5-2. 運動習慣をつける
痩せやすくするためには、運動によって、基礎代謝を高めることが重要です。
ウォーキングやヨガ、軽い筋トレなど、続けやすい運動を少しずつ取り入れてみましょう。
とくに、太ももやお尻、お腹といった大きな筋肉を鍛えるスクワットや腹筋は、効率的に基礎代謝を高めるのに効果的です。
5-3. 自分に合ったストレス解消法を見つける
更年期は心のバランスが崩れやすく、知らず知らずのうちにストレスが溜まりがちです。
ストレスを放置してしまうと、やけ食いや夜間の過食に走ってしまい、体重増加につながることもあります。
ストレスを溜めないためには、自分に合ったストレス解消法をもっておくことが大切です。
アロマや読書、散歩、ガーデニングなど、好きで楽しいと思える方法を見つけてみてください。
5-4. ツボを押す
次のようなツボを押すと、食欲をコントロールしたり、消化吸収を助けたりする効果が期待できます。
- 足三里(あしさんり):ひざのお皿の下、外側のくぼみから指4本分ほど下にあるツボ
- 内関(ないかん):手首の内側、手首のシワから指3本分ひじ寄りの、2本の腱の間にあるツボ
ゆっくりと深呼吸しながら、心地よいと感じる程度の強さで押してみましょう。
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5-5. サプリメントで不足しがちな栄養を補う
更年期太りに役立つ成分には、女性ホルモンに似た作用をもつ「大豆イソフラボン」や、脂肪の燃焼を助ける「ビタミンB群」などが挙げられます。
栄養は食事から摂るのが基本ですが、不足しがちな栄養素はサプリメントも活用して上手に取り入れてみてください。
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更年期の体重の変化に関するよくある質問

ここからは、更年期の体重変化に関するよくある質問について回答します。
6-1. 更年期に入ってから体重増加が止まらないのはなぜですか?
更年期に体重が増えやすい理由には、主に次のような要因があります。
- 女性ホルモンの低下:エストロゲンが減ると脂肪がつきやすくなる
- 筋肉量や基礎代謝の低下:消費するエネルギーが少なくなるため太りやすくなる
- ストレスや睡眠不足:自律神経が乱れることで食欲のコントロールが難しくなる
これらの要因が重なることで、一般的には、更年期に入ると体重が増えやすくなります。
6-2. ストレスで痩せる人と太る人の違いは何ですか?
ストレスで痩せる人と太る人では、ストレスに対する自律神経やホルモンの反応の仕方に違いがあります。
ストレスで痩せる人は、強いストレスを感じると交感神経が過度に優位になりやすいと考えられます。
これにより胃腸の働きが低下すると、胸やけや吐き気などを感じやすくなるでしょう。
その結果、自然と食欲が減り、体重の低下につながることがあります。
一方、ストレスで太りやすい人は、ストレスを感じて「コルチゾール」というホルモンの分泌が盛んになることが考えられます。
コルチゾールには食欲を増進させる働きがあり、甘いものや脂っこいものなど、高カロリーな食べ物を無性に食べたくなる原因となります。
その結果、気づかないうちにカロリーオーバーとなり、体重が増えてしまうのです。
更年期太りには糖質をカットするサプリメントもおすすめ

更年期における体重管理では、糖質の摂りすぎに注意することも大切です。
糖質は、摂りすぎると体内で中性脂肪として蓄積されるためです。
とはいえ、食事のたびに食材に含まれる糖質の量を気にするのはストレスになってしまいますよね。
そんなときは、食事の工夫にプラスして、糖質をカットするサプリメントを活用する方法もあります。
糖質をカットするサプリメントには、糖を分解する酵素(αグルコシターゼ)の働きを抑える成分が含まれています。分解されない糖は体内へ吸収されずにそのまま排出されるため、脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できます。
更年期太りを効果的に抑えたい方は、日々の食事と組み合わせて、サプリメントも賢く活用してみてください。
まとめ
更年期に「痩せる人」と「太る人」がいる理由には、元々の体質の影響だけでなく、食生活や運動習慣といった、日々の生活習慣も大きく関係しています。
更年期には一般的に、女性ホルモンの減少や基礎代謝の低下により、太りやすくなります。
しかし、普段の食事内容を見直し、運動習慣をつけて筋肉量を維持するといった工夫をすれば、体型の変化を抑えて健康的に過ごすことは可能です。
大切なのは、「年齢のせいだから仕方がない」とあきらめずに、自分の身体と向き合うことです。できることから少しずつはじめ、無理のないペースで理想の体型を目指しましょう。