漢方医学の基本思想「五行説」とは「哲学」なのです!

漢方医学の基本となる考え方に「五行説」という哲学とも言える理論がありますが、ご存知でしょうか?

最近、マスコミから発信される医学の情報に接すると、西洋医学が、この五行説を少しずつ検証しながら後追いしているという印象もあります(あくまでも筆者の印象ですので、医学関係のみなさま、読み流しをお願いします!)

五行説は、世界の存在する「万物」を木・火・土・金・水の5つの要素に分類し、その関係を説いています。この5つの要素は、お互いに支配したりされたりして絶妙のバランスを保っているというもので、そんな概論を聞くと、何それっ?って感じなのですが、わたしたちの世界(広く言えば宇宙)や、カラダの中で起こっていることを、各論的に考えれば、納得する部分がとても多いのに気がつきます。

今回は、その絶妙なバランスを生む支配関係のうち、代表的な関係である「相生(そうせい)」と「相克(そうこく)」について、ちょっとだけ紐解いてみます。簡単にいうと、世界は常にアクセル&ブレーキの関係で成り立っているいう感じだと思います。

「相生」はアクセル!

「相生」とはその文字の意味のとおり、相手を生み育てる母とその子のような関係です。五行では「木→火→土→金→水」という流れになります。つまり、「木」が燃えて「火」が生まれ、燃えてできる灰が「土」を肥やし、土は鉱物(「金」)を作り、その鉱脈から「水」が湧き出て、その水は木を育むという循環(流れ)に例えられます。

「相克」がブレーキ!

一方、「相克」とは相手を抑制する関係。「相生」の流れとは少し異なり「木→土→水→火→金」という順に関係しています。「木」は「土」から養分を吸収し、土は土手になって「水」の氾濫を抑え、その水は「火」を消し、さらに火は「金」を溶かし、その金属でできた刃物は木を切り倒すというそれぞれを「抑制する」関係に例えられます。

働きの弱まったものは相生関係でアクセルを踏み、強すぎるものは相克関係でブレーキをかけてコントロールしています。漢方では、この五行説に基づいた関係を人体の生理・病理に応用しています。

木・火・土・金・水に対応させて、人体の働きを5つに分けたものが、五臓五腑(ごぞうごふ)です。

わたしたちのカラダは五臓、肝・心・脾・肺・腎を中心に機能し、そのバランスの中で健康になったり不調になったりしていることになります。気をつけたいのが、西洋医学でいう肝臓・心臓…などの臓器を限定的に指すのではなく、もっと広く機能をさしているということです。

例えば「肝」は肝臓のほか自律神経系まで含めた機能をさします。五腑の胆・小腸・胃・大腸・膀胱は五臓の働きを補佐する器官と位置付けられています。

さて、五行説の触りの部分を紹介しましたが、なんとなく興味を持っていただけたでしょうか?次回はわたしたちのカラダの機能を五臓五腑(ごぞうごふ)の関係でさらに紐解いてみたいと思います。お楽しみに。

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