東洋医学を正しく知ることは、あなたの健康寿命につながります

漢方は効き目が遅い、健康保険が使えない等、まだまだ漢方には誤解が多いようです。今回は4つの誤解に迫りました。

知っている人は知っている、知らない人はとても曖昧(あいまい)、というのが東洋医学、主に漢方薬に関する知識、認識ではないでしょうか。考えてみれば日本という国は、不思議で東洋にありながら西洋医学が万能で、医学界、薬学界においても東洋医学は極めて少数派です。

一方で、超高齢化社会を迎え、医療費増えるばかり、いかに健康寿命を長くするかが国の経済を左右する大問題になっています。基本的には対症療法ではなく、体全体の調子を整えることで自分のチカラで病気を治す、防ぐという東洋医学は、だからこそ、少しずつ注目を集めています。

ちょっと前置きが長くなってしまいました。今回は、まず漢方の誤解について4つをあげ、少しだけ解説したいと思います。

誤解1/漢方薬には副作用がない

これは多くの方の誤解だと思います。「ない」というのは極端にしても「少ない」と思っておられる方が大多数ではないでしょうか?実は、漢方薬にも一定数の副作用が報告されています。自然由来の生薬だから大丈夫というのは誤解なのです。特に、誤解のひとつ「漢方薬はすぐ効かない」ということで、医師や薬剤師の指導なしで、市販の漢方製剤を長期連用はさけた方がいいと思われます。

誤解2/漢方薬はすぐに効かない

基本的に対症療法ではなく、カラダを整えることで病気を治していくのが漢方薬ですので、即効性を求めるのは無理があります。また漢方薬は、対症療法だけでは治癒が難しい慢性的な症状に処方されることが多く、その理由でも、漢方薬はすぐ効かないと思われる方が多いようです。
実は、漢方薬は体質ときちんと合っていれば、症状によって即効性があります。例えば風邪薬として普及している葛根湯ですが、血流を増やすことで風邪の初期段階ではよく効きます。

誤解3/漢方薬には科学的根拠がない

前置きと重複しますが、漢方薬は特定の症状に対する対症療法ではなく、体全体の調子を整えることで自分のチカラで病気を治す、防ぐというものなので、科学的根拠を得ることが極めて難しいのです。例えば、頭痛に対して、西洋薬でしたら神経系に作用して痛みをブロックするなど、目的がはっきりして、その効果も測りやすいのですが、漢方薬はその頭痛の原因を、体の調子に求めて、それを改善するために処方されます(これを漢方の言葉で「証(しょう)」といいます)。この「証」こそが東洋的な科学的根拠になるのです。

誤解4/漢方薬は健康保険が適用されない

もうご存知の方も多いと思いますが、漢方製剤(特にエキス製剤)を処方してくれる医師は増えているようです。処方可能な漢方処方も増えています。これには、もちろん健康保険が適用されます。ただ漢方に詳しい薬剤師は、既存の製剤よりそれぞれの体質に合わせたオーダーメードな漢方薬(さらに煎じて飲むタイプ)をすすめることが多いようです。インスタントコーヒーより、個人の好みに応じて選んだ豆を挽いてドリップしたコーヒーの方がやはり美味しいのと同じかもしれません。

医師の処方がない漢方薬はすべて保険が適用されませんが、逆に言えば処方さえあれば健康保険が適用され負担が小さくなります。まず漢方に理解があるクリニックを探して、信頼できる医師に巡り合うことが大切です。

※治療を目的とするのでしたら、医療費控除の対象になりますので、領収書を保存しておきましょう。

今月の素敵学プラス 次の記事は→ステイホームヨガ、やってみませんか?