【管理栄養士監修】更年期におすすめの食事は?エストロゲンを増やす食べ物や食べてはいけないものも解説

2025. 12. 24
監修:久保夢摘 プロフィールを見る >

管理栄養士
分子栄養学を基盤に「未病改善」と「根本から体質を改善するダイエット」を支援しています。

(https://yume-dietcoach.studio.site/)


「更年期には何を食べたらいいの?」
「大豆イソフラボンが更年期の不調を和らげるって本当?」

更年期の女性のなかには、このような疑問をかかえている方もいるのではないでしょうか。

更年期に適した食事のポイントを知り、健康的に過ごしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

【この記事の概要】
更年期の不調を和らげるには、エストロゲンに似た働きの大豆イソフラボンや、代謝・骨の健康を支えるタンパク質、カルシウムなどの栄養素を積極的に摂ることが重要です。一方で、不調を助長する精製された糖質やカフェイン、アルコールは控え、運動や睡眠といった生活習慣の見直しを並行して行うことが改善の鍵となります。

更年期に食事を見直すべき理由

監修:管理栄養士 久保夢摘

更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少する時期であり、それにともない自律神経のバランスが乱れやすくなります。

その結果、イライラやホットフラッシュ、不安感といった、さまざまな心身の不調が現れることがあります。こうした不調を和らげるためには、日々の食事の工夫が重要です。

食事の内容は、ホルモン分泌や血糖値の安定、自律神経の働きなどに深く関わっており、見直すことで心と体のバランスを整えるサポートになります。

次の章からは、更年期の女性が取り入れたい、具体的な栄養素や食材について詳しく解説します。

更年期女性が積極的に取り入れたい栄養素や食事

監修:管理栄養士 久保夢摘

更年期のゆらぎやすい心と体を支えるためには、日々の食事から適切な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。更年期にとくに意識して摂りたい栄養素には、主に次のようなものが挙げられます。

  • 大豆イソフラボン
  • タンパク質
  • ビタミン類
  • カルシウム
  • 食物繊維

それぞれの栄養素の特徴や、含まれる食材について詳しく見ていきましょう。

2-1. 大豆イソフラボン

大豆イソフラボンは、女性ホルモンである「エストロゲン」と似た働きをする成分です。更年期にはエストロゲンの分泌が急激に減少するため、体のさまざまな不調が起こりやすくなります。

日々の食事から大豆イソフラボンを摂取すれば、イライラやホットフラッシュなどの更年期特有の症状を和らげる働きが期待できるでしょう。納豆や豆腐、豆乳、味噌といった大豆製品を積極的に取り入れてみてください。

2-2. タンパク質

更年期は、筋肉量や基礎代謝が低下することで、疲れやすさや太りやすさなどを感じやすくなる時期です。

疲れにくく、太りにくい体づくりをするためには、普段から意識してタンパク質を摂ることが大切です。

肉、魚、卵、大豆製品などから成人女性ならタンパク質の摂取量は体重あたり1〜1.2g(体重60キロの方であれば60〜70gとなります。)を目安にバランスよく食事に取り入れましょう。

タンパク質は筋肉だけでなく、皮膚や髪、ホルモンの材料にもなる重要な栄養素です。不足しないように、さまざまな食品からまんべんなく摂取しましょう。

2-3. ビタミン類

更年期には、ストレス緩和や自律神経のサポートに役立つビタミンB群や、血流を促して冷えや肩こりの軽減が期待できるビタミンEなどを意識して摂るのがおすすめです。

ビタミンB1は豚肉や玄米、ビタミンB2はレバーや納豆に多く含まれます。またビタミンEは、アーモンドなどのナッツ類やかぼちゃ、アボカドなどに豊富に含まれる栄養素です。

更年期のさまざまな不調に対応できる体づくりのために、ビタミン類も意識的に摂取してみてください。

2-4. カルシウム

エストロゲンには、骨の新陳代謝において、骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きがあります。そのため、エストロゲンが減少する更年期以降は骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。

更年期には、骨の健康維持に役立つカルシウムを積極的に摂ることが大切です。牛乳やチーズなどの乳製品、小魚、干しエビ、小松菜などのカルシウムが豊富な食材を意識して取り入れましょう。

また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDと一緒に摂るのもおすすめです。ビタミンDは、鮭やきのこ類に多く含まれるほか、日光を浴びることでも体内で生成されます。

2-5. 食物繊維

更年期は、自律神経の乱れから腸の動きが鈍くなることがあるため、食物繊維を積極的に取り入れることが大切です。

食物繊維は、腸内環境を整えて便通を整えるだけでなく、「血糖値の急激な上昇を抑える」「余分な脂質の吸収を穏やかにする」といった働きもあります。

食物繊維は、雑穀米や玄米、海藻類、野菜、きのこ類などに豊富に含まれます。

東洋医学の考えにおける更年期におすすめの食材

執筆:漢方養生指導士 望月みどり

東洋医学において、健康の維持には、体のエネルギーや栄養の源である「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスが重要だと考えられています。

また、更年期の不調は、東洋医学における「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」のなかでも、とくに生命エネルギーを蓄える「腎(じん)」と、血を貯蔵し精神を安定させる「肝(かん)」の働きが弱まることによって生じやすくなるとされています

そのため、これらの働きを補う食材を意識的に摂ることがおすすめです。

たとえば、腎を補うとされる黒豆や黒ごま、ひじきといった黒い食材や、血を補うなつめやプルーンなどを食事に取り入れるとよいでしょう。

更年期の体の変化に悩む人が食べてはいけないもの

監修:管理栄養士 久保夢摘

更年期において「絶対に食べてはいけないもの」は基本的にありませんが、症状を悪化させる可能性があるため、量や頻度を控えたほうがよい食べ物は存在します。

たとえば、白米やパン、スイーツといった精製された糖質は、血糖値を急激に変動させ、イライラや気分の落ち込みを引き起こしやすい食べ物です

また、カフェインやアルコールの摂り過ぎは、自律神経の乱れを助長し、ホットフラッシュや不眠を引き起こすこともあります。これらを完全に断つ必要はありませんが、体の調子を見つつ、摂り過ぎには注意することが大切です。

食事だけじゃない!更年期を健康に過ごす生活習慣

監修:管理栄養士 久保夢摘

更年期を健やかに過ごすためには、食事の見直しとともに、生活習慣全体を整えることが重要です。

運動、睡眠、ストレス管理の3つの柱を意識することで、心と体のバランスをよりよい状態に保つことができるでしょう。

ここからは、更年期を健康に過ごすために気をつけたい生活習慣のポイントについて解説します。

5-1. 運動習慣をつける

適度な運動は、更年期における心身の健康維持に欠かせません。運動によって筋肉量を維持すれば、基礎代謝の低下を防ぎ、太りにくく疲れにくい体づくりにつながります。

また、血行が促進されることで、冷えや肩こりといった不調の緩和も期待できます。

大切なのは、無理なく楽しみながら続けられることです。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、心地よいと感じる運動を日常生活に取り入れてみましょう。

運動を習慣化すれば、自律神経のバランスを整える働きも期待でき、気分のリフレッシュになります。

5-2. 質のよい睡眠をとる

睡眠の質が低下すると、ホルモンや自律神経のバランスが乱れ、日中の不調につながりやすくなります。

また、睡眠不足が続くと食欲を高めるホルモン「グレリン」が増え、食べ過ぎの原因にもなります。

質のよい睡眠をとるためには、就寝前のスマートフォンの操作やカフェインの摂取を控えることがおすすめです。また、ぬるめのお湯にゆっくり浸かれば心身がリラックスし、自然と眠りにつきやすくなるでしょう。

5-3. ストレスを溜め込まない

更年期は、からだの変化に加えて、環境の変化も重なりやすい時期であり、ストレスを感じやすくなることがあります。

ストレスが溜まると、自律神経の乱れからイライラや気分の落ち込み、過食といった不調につながりやすくなってしまいます。

ストレスを溜め込まないためにも、自分なりのストレス解消法を見つけ、意識的にリラックスする時間をつくることが大切です。

「好きな音楽を聴く」「自然のなかを散歩する」「趣味に没頭する」など、自分が心地よいと感じる時間をもつことで、心のバランスを保ちやすくなるでしょう。

更年期と食事に関するよくある質問

ここでは、更年期の食事に関して多くの方がかかえる下記の疑問について回答します。

  • 積極的に摂るべき「三種の神器」とは何ですか?
  • 糖質はやはり悪者?まったく摂らない方がいいですか?
  • 間食したくなったら、どうすればいいですか?

更年期と食事に関してより詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

6-1. 積極的に摂るべき「三種の神器」とは何ですか?

更年期に積極的に摂りたいのは、下記の3つの栄養素です。

  1. タンパク質(筋肉の材料になる)
  2. 食物繊維(血糖値の上昇を緩やかにする)
  3. 良質な脂質(ホルモンバランスをサポートする)

鶏むね肉、大豆製品、きのこ、青魚などを意識して食事に取り入れましょう。

6-2. 糖質はやはり悪者?まったく摂らない方がいいですか?

極端な糖質制限は不要です。

大切なのは「血糖値を急上昇させない」ことです。

たとえば白米やパンをよく食べる方は、糖質を大きくカットするのではなく、低GIの玄米や全粒粉パンなどに変えてみましょう。

また、食べる順番を「野菜・汁物→肉・魚→ごはん」にするだけでも、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。

6-3. 間食したくなったら、どうすればいいですか?

適量であれば、我慢せず食べて問題ありません。

ただし、スナック菓子の代わりに、果物、素焼きのナッツ、高カカオチョコレート、ギリシャヨーグルトなどを選びましょう。タンパク質や良質な脂質を補給でき、満足感も得られます。

更年期の食事でお悩みの方にはサプリメントもおすすめ

執筆:サプリメントアドバイザー 望月みどり

食事で栄養バランスを整えることが基本だとわかっていても、「毎食管理するのは大変」「ストレスでつい食べ過ぎてしまう」といった悩みをかかえる方も少なくないでしょう。

そのようなときには、補助的にサプリメントを利用するのもひとつの方法です。

たとえば、「セキレンカ」「桑の葉」「ギムネマ」「グアバ葉」といった自然由来の成分が配合されたサプリメントは、食後の血糖値の急上昇を抑えるのに役立ちます。

ただし、サプリメントはあくまで食生活を補うものです。日々の栄養バランスを工夫したうえで、上手にサプリメントも活用してみてください。

まとめ

更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少によって、イライラや気分の落ち込み、ほてり、疲れやすさなどの不調が現れやすい時期です。

更年期の不調をやわらげ、心身を健やかに保ちたい方は、下記のような栄養素を積極的に取り入れてみましょう。

  • 大豆イソフラボン:女性ホルモンと似た働きをする
  • タンパク質:筋肉量や代謝の維持に役立つ
  • ビタミン類:自律神経のサポートや冷えの緩和などに役立つ
  • カルシウム:骨の健康を支える
  • 食物繊維:腸内環境を整える

一方で、血糖値を急激に上げる精製された糖質や、自律神経を乱しやすいカフェイン、アルコールなどは、量と頻度に注意して上手に付き合うことが大切です。

さらに、適度な運動や質のよい睡眠、ストレスをためない生活を意識することも、更年期のゆらぎやすい心とからだを穏やかに保つうえで重要です。

本記事で紹介した内容を参考に、日々の生活に取り入れやすい工夫からはじめてみてくださいね。

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