「なんだか体全体が痛い」
「日常生活において体を動かしにくいと感じる」
多くの女性が避けて通れない更年期では、ホルモンバランスが大きく変化するので、さまざまな不調が表れます。
とくに体があちこち痛むのは、日々の生活に支障をきたしたりストレスの原因になったりと、困りますよね。
そこで、この記事では以下の3点について解説します。
この記事でわかること |
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体が痛くて悩んでいる方には必読の内容となっているので、ぜひ最後までお読みください。
目次
更年期とは?体があちこち痛くなる原因とリウマチとの違いを解説

「最近なんだか体が重くて痛い」という方は、もしかしたら更年期の影響かもしれません。更年期とは閉経の前後10年間を指し、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌量が大きく減少するのが特徴です。
エストロゲンの減少は以下のようにさまざまな不調を引き起こし、これらの心身の不調や症状が日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と呼びます。
- ほてり、のぼせ
- 動悸
- 頭痛
- めまい
- イライラ
- 関節痛
こちらでは、更年期に体があちこち痛くなる原因と、同様の症状が出るリウマチとの違いを解説していきます。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
【医師監修】これって更年期障害?更年期に起こる12の症状を4つのタイプから原因と対処法を婦人科医医詳しく解説 >>
1-1. 更年期で体があちこち痛くなる原因
体があちこち痛くなる主な原因は、エストロゲンの急激な減少です。エストロゲンは女性ホルモンの一種で、体のさまざまな部分の健康を守る役割を担っています。
とくに、関節の内側を覆う「滑膜(かつまく)」をサポートし、動きをスムーズにする役割は非常に重要です。
更年期になってエストロゲンの分泌量が減少すると、滑膜の動きが悪くなり、以下のような不調として表れます。
- 関節のこわばりや痛み
- 体のだるさや動きづらさ
- 筋肉や腱の違和感
エストロゲンの不足により体のさまざまな箇所がスムーズに動かなくなり、きしんだり痛みを感じたりするようになります。そのため、更年期で体があちこち痛くなる方は、エストロゲンの不足をどのように補っていくかを考えることが非常に重要です。
1-2. 更年期とリウマチの違い
自己免疫疾患の1つであるリウマチの初期症状は、更年期の症状と非常によく似ています。リウマチも女性の患者が多く、40代から発症するケースが多いことも、更年期の症状とよく似ている点です。
そのため、更年期症状の一つとして体に痛みが表れた際に「もしかしてリウマチかも?」と不安になる方は非常に多いです。ところが、異なる箇所も多くあるため、不安な方は以下のポイントをチェックしてみてくださいね。
更年期 | リウマチ | |
原因 | エストロゲン減少 | 自己免疫疾患 |
痛みの部位 | 関節や筋肉全体など幅広い | 主に手指や膝などの関節 |
こわばる時間 | 長くても30分以内 | 1時間以上続く |
その他の症状 | 気分の落ち込み・疲れやすさ | 発熱・皮膚症状・だるさ・筋肉痛 |
リウマチの初期症状は更年期障害と非常に似ているものの、病状が進むと次第に痛みの表れる箇所が増えていきます。「どんどん痛みが悪化する」「痛みが長時間続く」と感じたら、リウマチ検査を受けてみましょう。
【部位別】更年期で体があちこち痛む症状を紹介

更年期になると体のあちこちが痛むことがありますが、部位によって原因や痛み方が異なる場合があります。
こちらでは、部位ごとに更年期における痛みの症状や原因を解説します。
- 頭
- 肩
- 手足
- 腰・背中
- 関節
それぞれ詳しく解説していきましょう。
2-1. 頭
更年期に頭痛が起こりやすくなるのは、自律神経の乱れが原因です。エストロゲンの分泌が不安定になると、自律神経のバランスも崩れやすくなります。
その結果、頭の血管の収縮が激しくなり、周囲の神経が刺激されることで片頭痛のような痛みが起きます。もともと月経に関連する頭痛があった方は、更年期によって悪化する傾向があるので要注意です。
また、気分の落ち込みと同時に頭痛が起こる方は、ストレスや睡眠不足が原因の可能性があります。「頭がズキズキする」という場合は、深呼吸をして心を落ち着けるのがおすすめです。
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2-2. 肩
肩が凝って痛い、という場合はホルモンバランスの変化や水分不足が原因かもしれません。エストロゲンが減少すると水分代謝が悪くなり、筋肉がむくみやすくなります。
また、気分の落ち込みにより姿勢が悪くなったり、筋肉が緊張して血行が悪くなったりすると、肩まわりに疲労物質がたまり、以下のような症状につながります。
- 肩から首にかけての重さ
- 肩甲骨まわりのハリや痛み
- 寝起きのこわばり
とくに寒い日は筋肉が収縮して悪化しやすいため、注意しましょう。
2-3. 手足
手足が痛むのは、エストロゲンの減少による神経や血流の変化が原因です。痛み以外にも朝起きたときの手のこわばりや、足の痺れが起こりやすいです。
寝る前に手足を温めたり、朝起きたら軽くストレッチをしたりして血流を良くすることを心がけましょう。
2-4. 腰・背中
腰や背中の痛み・こわばりも、更年期によく見られる症状です。運動不足や加齢による筋力低下に加えて、更年期による自律神経の乱れは腰や背中の痛みを引き起こします。
また、長年の姿勢の癖や生活習慣によって筋肉や靭帯に疲労が蓄積していることも腰や背中の痛みの原因です。とくに女性は子育てや家事で前屈みの姿勢が続きやすいため、背中周りの筋肉が固まっている可能性が高いでしょう。
腰を温めて血流を良くしたり、ストレッチをしたりして筋肉をほぐしてあげるのがおすすめです。
2-5. 関節
関節痛にはエストロゲンの減少が直接的に関係しています。エストロゲンの減少により、関節をサポートする滑膜の働きが弱まるからです。
滑膜は関節において潤滑油のような役割をしており、関節が痛みなくスムーズに動くために非常に重要です。さらに、エストロゲンの減少によりコラーゲンの生産も減るため、関節周辺の柔軟性が低下し、動かしづらさや痛みが出ます。
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更年期で体があちこち痛いときの対策5選

「何をしても体が痛い」「もう少し楽に毎日を過ごしたい」という方のために、こちらでは更年期で体があちこち痛いときの対策を紹介します。
- サプリメントで栄養を補う
- 適度な運動を取り入れる
- 食事を見直す
- 入浴する
- リフレッシュする
日々の生活で簡単に意識できることばかりなので、ぜひ最後まで確認して取り入れてみてくださいね。
3-1. サプリメントで栄養を補う
更年期障害には女性ホルモンであるエストロゲンの減少が大きく関わっているため、サプリメントを活用して栄養素を補うことは非常に効果的です。
エストロゲンに似た働きが期待できる、以下のような栄養素を積極的に摂取しましょう。
- 大豆イソフラボン
- エクオール
- カルシウム
- ビタミンD
サプリメントを選ぶ際はぜひ、以下の点を意識してみてください。
- 複数成分配合されたものを選ぶ
- 科学的に効果が実証されているものを選ぶ
- 東洋医学がベースとなっているものを選ぶ
更年期に体があちこち痛む症状には、エストロゲンの減少を始めとして様々な要因が絡み合っています。それぞれに効果的な成分を摂取するためにも、単一成分ではなく複数成分を含むサプリメントがおすすめです。
加えて、東洋医学由来の成分やスーパーフードが配合されているものは、積極的に摂取しましょう。伝統生薬をベースにしたサプリメントには、心身のバランスを整える働きがあるとされていて、根本的なケアにつながります。
さまざまな不調が組み合わさって表れる更年期障害と、体全体のバランスを整えて不調を解決していく東洋医学の考え方は、非常に相性がよいのでおすすめです。
更年期関節痛の対策におすすめのサプリメントの選び方については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
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3-2. 適度な運動を取り入れる
軽い運動は、更年期障害全般の改善に非常に効果的です。とくにウォーキングなどの有酸素運動は血流をよくし、自律神経のバランスも整えてくれます。
「痛みがあって体を動かしたくない」という方は決して無理はせず、日常生活に取り入れられるところから取り入れてみてください。以下のような運動でも効果は望めるので、無理のない範囲で体を動かしましょう。
- 買い物に徒歩で行く
- エレベータではなく階段を使う
- 家の中で軽くストレッチをする
体を動かすことはリフレッシュにもつながるので「気持ちがなんとなく沈んでしまう」というときにも効果的です。
3-3. 食事を見直す
更年期障害を和らげるためには、食事も非常に重要です。
体があちこち痛む場合はホルモンバランスの変化によって体の炎症が起こりやすく、痛みを感じやすくなっている可能性があります。
そのため、抗炎症作用のある、以下のような食材を積極的に取り入れるとよいでしょう。
- 青魚
- ナッツ類
- オリーブオイル
- 緑黄色野菜
逆に、以下のような食品は炎症を促進させてしまう可能性があります。
- 加工食品
- 白砂糖の多いスイーツ
- 揚げ物
また、女性ホルモンに似た働きを持つイソフラボンを積極的に摂取すると、ホルモンバランスが整うので、更年期障害全般の改善に効果的です。大豆製品を普段の食事に組み込み、意識して取り入れてみましょう。
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3-4. 入浴する
毎日の入浴は、更年期の痛み対策に非常に効果的です。湯船にゆっくりと浸かることで血行が良くなり、体全体がほぐれて炎症を鎮められます。
リラックスできるので自律神経も整い、その他の更年期障害の改善も期待できます。入浴の効果を最大限高めるために、以下の点を意識しましょう。
- 食後すぐには入らず30分以上空けてから入る
- 就寝の1〜2時間前に入浴する
- ぬるめの38〜40℃のお湯に10〜15分ほど浸かる
お気に入りの入浴剤を使ったり、音楽をかけたりして心も体も緩める時間にしてくださいね。
3-5. リフレッシュする
ストレスが溜まると自律神経のバランスが崩れ、姿勢が悪くなりがちです。首や肩が凝って痛みにつながるだけでなく、全身の血行が悪くなるのでさまざまな不調を引き起こします。
「なんか辛いな」と思うときこそリフレッシュをして、ストレスを溜めないようにすることが非常に重要です。更年期はホルモンバランスの影響でネガティブな気持ちになりやすいため、意識的に以下のような時間を取るようにしましょう。
- 好きな音楽を聴いてゆったりする
- 友達と話す
- 一人の時間を満喫するカフェタイムを作る
心が軽くなると、体も軽くなります。自分を大切にする時間をとって、健康を保ってください。
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更年期で体があちこち痛い状態を放置するリスク3選

更年期で体が痛む状態を放置すると、さらに悪化して治療が難しい状態になる可能性があります。
「痛いけど病気じゃないし…」「忙しくて対策できない」という方は要注意です。
こちらでは、更年期で体があちこち痛む状態を放置するリスクを解説します。
- 慢性疾患に移行する
- メンタル不調になる
- 違う病気を見逃す
それぞれ確認していきましょう。
4-1. 慢性疾患に移行する
更年期による体の痛みを我慢し続けると、慢性的な痛みや病気に変わる可能性があります。すぐに対策をすれば一時的で済むはずだった痛みが、何ヶ月も続くようになるかもしれません。
痛みを感じる神経が敏感になり、わずかな刺激にも強い痛みを感じるようになってしまいます。
また、筋力低下や骨の衰えが痛みの原因である場合、放置すると以下のような疾患につながるケースがあります。
- 線維筋痛症(せんいきんつうしょう:身体の広い範囲で痛みがでる病気)
- 骨粗鬆症(こつそしょうしょう:骨密度が減少して骨が弱くなる病気)
- 腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア:腰の骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫する病気)
「なかなか痛みがなくならない」という方は、早めに医療機関を受診してください。
4-2. メンタル不調になる
慢性的な痛みが続くと、それだけで気分が沈んでしまいます。また、更年期はホルモンバランスの変化により「うつ状態」になりやすい時期です。
痛みを放置し、ストレスを溜め続けるとメンタルの不調に陥ってしまうかもしれません。また、気分が落ち込むことで活動量が減り、さらに筋力が低下して体の痛みが増幅し、と悪循環にはまってしまう可能性もあるため、体の痛みを感じた場合は早めに対策を取るようにしましょう。
4-3. 違う病気を見逃す
更年期障害に隠れて、重大な疾患の兆候が体の痛みとして表れているケースがあります。心筋梗塞や狭心症など、心臓の病気は初期症状が肩こりや背中の痛みとして表れます。
「日々意識しているのに更年期障害による体の痛みが良くならない」「長い間体が痛む」という方は、更年期障害以外の病気が隠れている可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
完治には早期の発見と治療が重要です。痛みは放置せず、適切な対策をとるように心がけてください。
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更年期で体があちこち痛い場合は複合成分配合のサプリメントがおすすめ

更年期障害により体があちこち痛む場合は、ホルモンバランスを整える栄養素を積極的に摂るのがおすすめです。
ところが、忙しい日々の中では普段の食事ではなかなか十分な量を摂取するのは難しいでしょう。
そんなときは、複合成分配合のサプリメントを活用するのがおすすめです。更年期の不調は多岐にわたり、複雑化しています。それぞれの不調にアプローチするには、さまざまな成分を含んだサプリメントが効果的です。
なかでも、東洋医学の見地から生まれた伝統生薬やスーパーフード由来のサプリメントは非常におすすめです。心身のバランスを整えることにアプローチして、不調をゆるめて改善するための成分がバランスよく配合されています。
東洋医学はからだの不調や症状を「からだ全体のバランスの崩れ」と捉え、アプローチします。そのため、さまざまな不調が絡み合う更年期障害の改善と非常に噛み合っているといえます。
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まとめ
更年期には、エストロゲンの急激な減少が原因でさまざまな不調が表れます。体があちこち痛むのも、更年期の症状の1つです。
対策としては、エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボン成分を含むサプリの摂取や適度な運動などが有効です。日常生活で無理のない範囲で、少しずつ取り入れていくようにしましょう。
また、放置すると慢性疾患やメンタル不調を招く恐れもあるため、早めの対処が重要です。