「夕方になると足がパンパンにむくむ」
「朝起きたら顔が腫れぼったい」
そのようなお悩みをかかえていないでしょうか?
40代を過ぎたころから、こうした「むくみ」に悩まされる女性が増えてきます。
むくみの原因は単なる水分の摂りすぎや疲れだけではありません。更年期に入ると女性ホルモンのバランスが大きく変化し、自律神経の乱れや血流の低下、筋力の衰えなどの複数の要因が重なってむくみやすくなるのです。
この記事では、更年期のむくみに関する以下の内容について詳しく解説します。
この記事でわかること |
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「更年期だから仕方ないのかな…」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
更年期にむくみが起こる原因

更年期に入ると、体のさまざまな機能が変化し、むくみを感じやすくなります。とくに女性ホルモンの減少や筋力量の低下、病気の影響などは、代表的なむくみの原因です。
1-1. 女性ホルモンの減少
更年期を迎えると、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が大きく減少します。エストロゲンは、自律神経のバランスを保つ働きがあるため、これが急激に減ることで自律神経が乱れやすくなります。
自律神経の乱れは血行不良を招き、血管内の水分が組織にしみ出して皮膚の下にたまりやすくなります。これが、いわゆる「むくみ」の状態です。
さらに血流が滞ることで「冷え」も生じやすくなり、冷えがむくみを助長することもあります。
【医師監修】これって更年期障害?更年期に起こる12の症状を4つのタイプから原因と対処法を婦人科医医詳しく解説 >>
1-2. 筋力の低下
加齢や運動不足によって筋肉量が減少すると、リンパの流れが滞りやすくなります。
とくにふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、下半身にたまった血液やリンパ液を心臓に押し戻すポンプのような役割を果たしています。
更年期は筋力量が低下しやすい時期でもあるため、このポンプ機能が弱まり、下半身で血液やリンパ液が滞ることでむくみが生じやすくなるのです。
1-3. 卵巣や甲状腺などの病気
更年期に感じるむくみのすべてが、更年期障害によるものとは限りません。
たとえば、甲状腺の働きが低下する「甲状腺機能低下症(橋本病)」では、代謝が下がって血行が悪くなり、むくみが生じることがあります。甲状腺の病気は更年期と同じく40〜60代の女性に多くみられるため、見過ごされやすい傾向にあります。
また、卵巣に腫瘍ができた場合、腫瘍が血管やリンパ管を圧迫し、むくみを引き起こすことがあります。
さらに、腎臓病や心臓病、肝臓病といった内臓疾患が背景にあることもあり、更年期障害以外の病気の可能性についても注意が必要です。
むくみと肥満の違い

「むくみ」と「肥満」は見た目が似ていることから混同されがちですが、原因や仕組みが異なります。
むくみ(浮腫)は、血液や細胞内の水分がうまく循環せず、細胞と細胞の間に水分がたまる状態のことです。
一方で肥満は、脂肪細胞が増加して体に蓄積されることによる体重増加を意味します。
そのため、むくみによる体重増加はあくまで一時的な「水分の増加」によるものであり、脂肪が増えているわけではありません。
むくんでいるかどうかを確認したい場合は、気になる部位を指で軽く押してみましょう。数秒押して、へこんだまま戻らなければむくみ、すぐに元に戻れば脂肪である可能性が高いでしょう。
東洋医学の考えにおける更年期のむくみ

東洋医学では、「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の巡りが健康を支えていると考えられています。
- 気(き):体のエネルギー
- 血(けつ):体の栄養
- 水(すい):体液(リンパ液やだ液など)
この3つのバランスが乱れると、血流の滞りや代謝機能の低下などを引き起こし、むくみや冷え、疲れやすさなどの不調があらわれるとされています。
更年期にむくみやすくなる理由として、東洋医学では「腎(じん)」の機能低下が大きな要因とされています。腎はホルモンの調整や生命力、水分代謝をつかさどる臓器で、加齢によってその働きが弱まると、体内の水分バランスが崩れやすくなるのです。
東洋医学では、こうした「気・血・水」のバランスを整えることで、むくみをはじめとする更年期の体調不良を根本から改善するアプローチが取られています。
参考: | ヨサン大学 |
MenoClarity |
更年期のむくみを改善するための簡単セルフケア

更年期のむくみは、日常のセルフケアで少しずつ改善が期待できます。ここでは、今日から取り入れられる6つのセルフケア方法をご紹介します。
4-1. 温活をする
血行を促し、余分な水分の排出をうながす「温活」はむくみ対策の基本です。とくに、湯船にゆっくり浸かれば体の芯から温まり、血流やリンパの流れもスムーズになります。
半身浴や足湯、靴下の着用、温かい飲み物の摂取など、日常に取り入れやすい方法で体を温めましょう。夏場でも、エアコンの影響で体が冷えがちになるため、日頃から温活を意識することが大切です。
4-2. むくみに効く食べ物や飲み物を摂る
むくみの改善には、食生活の見直しも欠かせません。とくに、次のような栄養素や食材はむくみ対策におすすめです。

栄養素 | 働き | 食材の例 |
カリウム | 体内の余分なナトリウムを排出し、水分バランスを整える | バナナ、さつまいも、ひじき、昆布など |
たんぱく質 | 血液や筋肉の材料となり、代謝を促進する | 大豆製品、ささみ、卵など |
ビタミン・ミネラル | 血流や代謝に関わる | 豚肉、海藻類、ナッツ、果物など |
過度な食事制限やダイエットは、栄養不足や筋肉量の低下を招き、むくみを悪化させる恐れがあるため注意が必要です。また、むくみやすくなるため、塩分の摂りすぎやアルコールの過剰摂取にも注意しましょう。
4-3. 運動習慣をつける
日常的に軽めの運動を取り入れることで、血流やリンパの流れが改善され、むくみの予防につながります。
とくに、ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプのような働きがあるため、足を動かすことは非常に効果的です。
- ウォーキング
- ヨガやストレッチ
- 階段の昇り降り
- 通勤で一駅分多く歩く など
また、朝日を浴びながら運動をすると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が促され、自律神経も整いやすくなります。これにより気分が安定し、更年期のイライラや不安といった不調の軽減にもつながります。
4-5. ツボを押す
むくみに効果があるとされるツボを押すのもおすすめです。なかでも有名なのが「三陰交(さんいんこう)」というツボです。
三陰交は、内くるぶしから指4本分上の、すねの内側にあります。冷えやむくみ、生理不順、更年期症状の緩和に対して効果があるとされています。1日数回、やさしい力で5〜10秒ほど押してみましょう。
4-6. サプリメントを活用する
日々の食事だけでは摂取が難しい栄養素は、サプリメントで補うのもひとつの方法です。とくに更年期のホルモンバランスを整えるためには、次のような成分が役立ちます。
- 大豆イソフラボン:女性ホルモンである「エストロゲン」に似た働きをし、更年期症状の緩和に役立つ
- ビタミンE:血流を促し、冷えやむくみ対策にも役立つ
- 鉄分・マグネシウム:疲れやすさやだるさの改善に役立つ
ただし、サプリメントはあくまでも補助的な存在です。日々の食事を基本に、不足分を補う形で使いましょう。
大豆イソフラボンサプリの6つの効果について専門家がわかりやすく解説 >>
部分的なむくみのケア方法

更年期に起こりやすいむくみは、全身だけでなく、顔・手・足などの特定の部位に集中してあらわれることもあります。
ここでは、部位別に簡単にできるむくみケアの方法をご紹介します。
5-1. 顔のむくみ
顔のむくみを軽減させるには、リンパや血流を促すマッサージが効果的です。摩擦を避けるために、クリームやオイルを塗ってから行いましょう。
目元からこめかみ、あごから耳の下、耳の下から鎖骨へとリンパの流れに沿って、やさしくなでるようにマッサージします。
顔の中心から外側に向かって、老廃物を流すイメージで行うのがポイントです。朝のスキンケア時に数分取り入れるだけで、顔まわりがスッキリ感じられるはずです。
顔のむくみ7つの原因と即効でスッキリさせる方法を専門家が解説 >>
5-2. 手のむくみ
「指輪がきつくなった」「指の曲げ伸ばしがしづらくなった」と感じる方は、手がむくんでいるのかもしれません。
手のむくみを防ぐには、まず手全体を温めて血行を促しましょう。お湯に手を浸けるだけでもOKです。また、次のような簡単なマッサージもおすすめです。
- 水かきのマッサージ:親指と人差し指の間の水かきを反対の手でつまみ、軽くもみほぐす
- 指のマッサージ:各指の付け根から先端に向かって、くるくると円を描くように2〜3周マッサージする
これらを数分行うだけでも、手のむくみや冷えの改善が期待できるでしょう。
5-3. 足のむくみ
夕方になると足がパンパンになる方は、下半身の血流やリンパの流れが滞っている可能性があります。足のむくみ対策には、ふくらはぎの筋肉を意識的に動かすことがポイントです。
- かかとの上げ下げ運動:立ったまま、かかとをゆっくり上下させる
- 足首を回す運動:座った状態で足首をぐるぐる回す
また、足首からふくらはぎ、ひざ裏、太ももの付け根に向かってリンパを流すようにマッサージするのもおすすめです。足湯や入浴で血流を促してから行うとより効果的です。
就寝時は、クッションやタオルなどを使って足を心臓より高くして寝ると、重力で自然に水分が引いていきます。
むくみの症状で医療機関に相談する目安

むくみの多くは一時的なものですが、なかには病気のサインとしてあらわれるケースもあります。次のような症状がある場合は、早めに医療機関に相談することが大切です。
- 片足だけが急にむくむ
- むくみに加えて痛みや息苦しさがある
- 短期間で急激にむくみがひどくなった
これらの症状がある場合、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)や心不全、腎疾患、甲状腺異常などの病気が隠れている可能性も考えられます。
生活習慣を改善してもむくみが続く場合や、日常生活に支障を感じるようであれば、かかりつけ医や内科、循環器内科などの専門医に相談してみましょう。
むくみ改善のサポートには漢方由来のサプリメントがおすすめ

更年期のむくみには、ホルモンバランスの変化や代謝機能の低下など、複数の原因がからみ合っていることが多いため、単一成分のサプリメントではカバーしきれない場合があります。
そこで注目されているのが、漢方(伝統生薬)をベースにしたサプリメントです。東洋医学では、むくみをはじめとする体の不調の原因は「気・血・水」のバランスの乱れだと考えられています。
漢方由来のサプリメントは、「気・血・水」といった体の土台を整え、体の内側から不調へアプローチすることが可能です。体の自然治癒力を高めて、むくみやイライラなどの更年期症状を和らげたい方にとって、漢方由来のサプリメントは有効な選択肢だといえるでしょう。
まとめ
更年期のむくみには、ホルモンバランスの変化に加え、生活習慣や筋力の低下、血流の滞りなどのさまざまな要因が関係しています。とくに女性は、顔・手・足など特定の部位にむくみがあらわれやすいため、日頃からのセルフケアが欠かせません。
また、むくみのなかには内臓の不調や疾患が隠れている場合もあるため、いつもと違う不調を感じたときは、早めに医療機関に相談してください。
食事・運動・温活・ツボ押しなど、できることから少しずつ取り入れ、自分の体に合ったセルフケアを見つけていきましょう。漢方やサプリメントの力も上手に活用しながら、心地よく毎日を過ごしていきたいですね。
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